未来の自分にやさしいWeb制作のいろは 【テンプレ付き】成功するホームページのRFP(提案依頼書)作成方法
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公開日
2019.04.11
- 更新日
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自社の集客や採用に課題があり、ホームページの新規制作や、自前のホームページのリニューアルを検討している方もいるのではないでしょうか。
「せっかくのホームページ制作、失敗したくない」
「開発側にリニューアル内容を伝えたいけど、どう伝えたらいいかわからない」
このような悩みを解決するべく、発注方法や制作会社の選定方法についてプロが教えます。本記事では、ホームページ発注を成功に導くカギとなる「RFP(提案依頼書)」について詳しく解説。正しいRFPを作り、課題解決に役立てていきましょう。
目次
RFP(提案依頼書)とは現状や課題を明らかにするカルテ
RFPとは「Request for Proposal(リクエストフォープロポーサル)」の略。ホームページ発注の際に、発注側が制作会社側に対して提出する書面のことを指します。要するに、ホームページを制作したい企業または個人が、ホームページ制作会社に依頼する際にその依頼内容を書いたものです。
RFPに記載する内容としては、主に自社の現状や課題、課題を解決するためにホームページに搭載したい機能などが挙げられます。制作会社側は、発注側から提出されたRFPをもとにシステム開発の具体的な提案を行なっていきます。
また、RFPを作成する際には、搭載してほしい機能の詳細な部分まで無理に盛り込む必要はありません。RFPはあくまで「提案依頼書」であり、制作会社側によりよい提案をしてもらうために必要なものだということを意識しておきましょう。RFPでは、システム開発の目的や目標(自社の課題解決)をしっかりと伝えるようにしましょう。
RFPのイメージとしては初めて訪れた病院で自身の症状や身体的特徴などを書くカルテが近いかもしれません。
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RFP(提案依頼書)と要件定義書の違い
RFPと混同しがちなものとして「要件定義書」があります。
要件定義書は制作会社側が作成するもので、発注側がホームページに求めている要件や要望、現状の課題などを明確にするための資料です。制作会社側が要件定義書を作成するメリットとしては、発注側の希望を関連部署間で共有しやすくなるという点や、制作会社担当者間での認識の齟齬を防ぐという点があります。
RFPは発注側が制作会社側に対して提出するので、両者には明確な違いがあります。
RFPを作成したほうがよい理由5つ
発注側がRFPを作成したほうがよい理由としては、主に以下の5つが挙げられます。
①社内でホームページを制作する理由の共通認識を持つ
まず、RFPを作成することで、そもそも「なぜホームページが必要だと思ったのか?」という制作理由を再確認することができます。
RFPに自社の現状や課題を盛り込もうとする際「その課題を解決するための最善策は本当にホームページでよいのか」という疑問が浮かび上がることがあります。これは、自社内でホームページを制作する理由の共通認識を持つことにつながるため、決して悪いことではありません。
②制作会社へ明確な課題提示をすることで提案の質が上がる
満足のいくシステム開発を行なってもらうには、発注側が制作会社側に明確な条件提示をする必要があります。適切なRFPを作成することで、制作会社側へと「なにが目的でホームページを制作(またはリニューアル)したくて、最終的なゴールをどう考えているのか」を伝えることができるのです。
制作会社側としても、発注側が望んでいることを正確に理解できれば、質の高い提案を行なうことができます。
③課題を明確にして伝えることができる
制作会社側が知りたいのは「発注側がどのようなことに課題を感じているのか」ということです。ホームページでその課題を解決できる可能性があるならば、制作会社側はプロとして有益な提案をしてくれます。
そのため、RFPには自社の課題をなるべくはっきりと明記する必要があります。課題を明確にすればするほど、ホームページ制作やリニューアルはスムーズに進行していくはずです。
④課題を明確に提示するため、認識の相違などトラブルを防げる
RFPを作成することによって、作成しなかったときよりも断然制作会社側とのトラブルを未然に防ぐことができます。
ホームページ発注においては、事前の条件提示が曖昧だったために後々トラブルへと発展してしまうケースが多々あります。また、大事な取り決めを口頭で行なってしまったことで履歴が残らず、後日に「言った・言わない」の水掛け論となってしまう場合もあるのです。
こういったトラブルの芽を前もって摘んでおくためにも、RFPを作成して提示する条件の内容や対応してほしいことを明文化しておくべきでしょう。
⑤社内での取りまとめにも有用
RFPを作成する過程で、副産物的な効果を得ることもできます。自社の課題を解決するうえで考えるべき多くの物事を一つにまとめ、整理することができるのです。
ホームページの新規制作やリニューアルを社外に発注する以上、そのプロジェクトに関わる社内の人間は提示する要件や要望をしっかり把握し、共有している必要があります。RFPを作成することで自社の進むべき方向性が明確になり、取りまとめをしやすくなるでしょう。
RFPへ記載するべき事項トップ5
システム開発を円滑に進めるために提出するRFPですから、発注側としては記載するべき事項をもれなく記載しておきたいところです。
ここからは、RFPに記載するべき5つの事項をご紹介します。
①プロジェクト概要
まず、RFPに記載しておきたいのは「自社としてなにがしたいのか」という事項です。
自社が抱える課題は集客なのか、採用なのか、もしくは商品やサービスの認知向上なのか。また、課題を解決する手段はホームページで本当に合っているのか。こういった観点を社内で検討し、RFPに盛り込む必要があります。
制作会社側はプロなので、RFPに記載された内容をもとに適切な改善策を提示してくれます。場合によっては、ホームページの新規制作やリニューアルが課題解決の最善策ではなく、制作会社側から「SNSの併用」や「オウンドメディア要素の取り込み」などを提案してもらえるかもしれません。
②制作するサイトにまつわるサービス概要など
説明がなければ、制作会社側は発注側の展開するサービス内容がわかりません。適切なシステム開発を行なってもらうためにも、RFPに自社ホームページで取り扱っているサービスの概要などを記載して、自社のことを制作会社側に知ってもらえるようにしましょう。
制作会社側の発注側に対する理解が深まれば深まるほど、希望に沿ったシステム開発が実現するのです。
③ホームページを制作するにあたっての要件と要望
ホームページの新規制作やリニューアルにあたって、自社が考えている要件や要望をRFPに盛り込むことも必要になってきます。
「サイト内に検索機能をつけたい」「ブログ機能で画像投稿を楽にしたい」「申し込みフォームをよりシンプルな作りにしたい」など、要件や要望はできる限り具体的に記載するようにしましょう。制作会社側に意図が伝わりやすくなります。
後から五月雨式に依頼すると、追加で開発費用がかかる可能性もあります。要件や要望はなるべく初期段階のうちに洗い出し、社内で共通認識を持っておくと良いです。
④予算感
RFPでは、予算感をしっかり提示することも重要です。
どのようなホームページを作りたいのか、そのホームページでなにがしたいのかといった要素によって、システム開発の費用は大きく変わってきます。自社の予算を検討し、制作会社側に「ここまでなら出せます」と伝えましょう。
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⑤全体のスケジュール
システム開発の全体スケジュールも、RFPで外すことのできない事項の一つです。
新規制作やリニューアルしたホームページの公開日を明確に設定しておけば、後々すり合わせ不足による納品遅れなどのトラブルを防ぐことができます。
また、公開日は「マストで守ってほしいのか、できればその日まで間に合わせたいのか」といった部分も伝えておくと、制作会社側との共通認識を持つことができるのでおすすめ。公開日まであまり日がなければ、特急料金が発生することもあります。
【RFPテンプレート】入力不要で誰でもダウンロード可能
ここまでの説明で「まだ制作会社に伝わるようなRFPがうまく思い描けない……」とお困りのご担当者さまへ、RFPのテンプレートをご用意しました。先ほど説明したトップ5以外にも、サーバー情報やドメイン情報、デザイントーンのイメージなど制作会社がほしい情報がまるっと入ったテンプレートなので、この中からカスタマイズして提出してもよいでしょう。また、例として中身は埋めてあるので、なぜその情報がほしいのかがある程度把握できるのではないでしょうか。また、意外と抜けがちなのが自社の情報。どのような会社なのかによって提案するデザインが変わってきたり、ターゲット層によってマーケティングのアプローチ手法もさまざまです。しかし、コーポレートサイトの情報だけではわからないことがほとんどです。書き忘れがないように埋めていくスタイルのRFPとなるので、書けない部分やわからない部分は「わからない」などと記入することで制作会社に貴社のWebリテラシー度合いも伝わりやすくなります。わからないと記入した部分に対して理解しているのが当たり前のスタンスでくる制作会社は、依頼を断念したほうがあとあと安心かもしれません。
RFPのダウンロードは入力など不要でどなたでも可能ですので、ぜひご参照・ご活用ください。
ダウンロードはこちら
RFPがいらないプロジェクトとは?
RFPの重要性を聞いていると「どんな案件でもRFPを作らないといけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。制作会社と発注者や、発注会社の社内での認識の齟齬をなくすために、やはりできるだけ作成することをおすすめします。しかし、厳密にはすべての案件でRFPを作らないといけないわけではありません。
では、RFPがいらないプロジェクトとは一体どのようなものなのでしょうか。
ページ数が少ないなど、ホームページの規模が小さい
新規制作やリニューアルを考えているホームページの規模が小さいと、RFPを提出する必要ない場合があります。
RFPは、あくまでシステム開発を円滑に進めるために制作会社側へと提出するもの。ホームページの規模が小さければ、発注側が制作会社側に伝えるべき要件や要望などもおのずと少なくなります。目安としては、1〜5ページほどの小規模なホームページ作成の場合はなくても大丈夫でしょう。
RFP作成を目的と捉えずに、ホームページ発注を成功に導くための手段の一つなのだと考えるようにしましょう。
予算が少ない
ホームページ発注の予算が少ない場合も、RFP作成の省略が可能です。
システム開発にある程度の費用がかかる際には、前述したとおり制作会社側に「ここまでなら出せます」と予算感を伝える必要があります。大きな金額が動く以上、発注側と制作会社側が共通の認識を持っていることでトラブルの防止にもなるからです。
しかし、予算が少額である場合はサイトデザインや構築費用のみで、そもそもCMSなどのシステムを組み込む費用がない場合が多いので、RFPがなくとも滞りなく進められるでしょう。予算が少ない=やれることがあまり多くない可能性が高いので、要件や要望が少ない場合はRFPを作成する労力などのデメリットの方が上回ってしまうので必要ありません。
しかし、少ない予算のなかでもお知らせやブログ、その他コンテンツページを更新しやすいホームページにしたい場合は、CMSのカスタマイズが必要となるため、その要望が多い場合(例:3箇所以上)などはRFPを作成したほうがよいでしょう。
また目安として少ないの定義としては100万円以下の予算を想定しておきましょう。
ホームページはほしいがそれで集客や採用などをする予定がない
ホームページを作る理由は、なにも集客や採用などの課題解決だけに限ったことではありません。抱えている課題を解決するための手段としてホームページを利用しない場合、RFPを作成する必要性は低くなります。
これまでも述べてきたように、RFPは自社の現状や課題、課題を解決するためにホームページへと搭載したい機能などを、発注側が制作会社側に提示するためのもの。ホームページを課題解決に利用しない以上、RFPを作成する意義も薄くなるのです。
失敗しないホームページ制作に必須な守るべきポイント
費用や時間をかけて行なうホームページ制作で失敗しないためには、いくつか守るべきポイントがあります。近々自社でホームページ制作を検討している場合は、以下の注意点に留意しておくとよいでしょう。
口頭で伝えた気にならないで要件はかならずテキストに残す
ホームページ制作で発生する主なトラブルに「必要な情報を伝えていなかった」というケースがあります。
とくに、口頭で伝えた気になってしまうケースには要注意。「先方担当者に伝えたような気がするけど、確証がない…」という事態に陥ってしまうと、RFPのような書面を残していない以上、後々になって情報伝達の有無を検証することもできなくなります。
また、電話やミーティングで必要な情報を伝えたのにも関わらず、制作会社側からまったく異なる提案が上がってきてしまうケースもよく聞きます。制作会社側の聞き取りに問題がある場合もありますが、そもそもテキストでログを残せばこういった問題は防げるはずです。制作会社側もさまざまな企業を相手にしており、口頭ベースでいわれたことをすべてメモを取ることは困難です。また、発注者側もミーティングや電話ごとに伝える内容が違ったり、伝え漏れが発生したりします。無用なトラブルを避けるためにも、かならず情報伝達のログをテキストで残しておきましょう。
制作途中での要望や仕様変更はNG
制作会社側に求める条件を発注者側が仕様変更してしまうのも、トラブルに発展する理由の一つです。
たとえば、事前に制作会社側が確認していた決裁者は社長だったにもかかわらず、下層ページのデザインまで進んだところで、なんと会長が登場。会長が確認したところ、思っていたものと違ったようでいままでのデザインがすべてやり直しになってしまった……ほかにも、とても分岐が多いお問い合わせフォームで、ひとつの変更に対してすべてのシステムを書き換える必要がある、かなり複雑なシステムを組む必要がある案件。しかし途中何度も修正が入り、当初予定していた作業量を大幅に超えてしまい追加見積もりになったため、それを発注者側に伝えたところ、発注者側は少しの修正という認識しかなく、トラブルになったとのこと……。
じつはこれ、実際に弊社のディレクターから聞いた、以前働いていた会社で起こった話なんです。
このような制作過程でのトラブルを起こさないためにも、RFPは大変重要です。
よく、ホームページは家づくりと同じだといわれます。家を作っている最中に、でき上がった1階のキッチンをみて「やっぱりキッチンは2階につくりたい」といわれても、家の中にでき上がったキッチンは移動するには配管の変更も必要です。もしその要望を叶えるとしたら、一度水道やガスの動線も見直さないといけない、もしくはそれと同等の作業量を要する可能性が高いです。そしてもちろん作業が増えるので見積もりも変更になります。これは、Webサイトの制作にも同じことがいえるのです。
要望を叶える心地の良いマイホームを手に入れるには、まずは綿密な設計図に要望を落とし込む必要があります。この作業の一番はじめの段階が、RFPの作成といえるでしょう。
見た目上はボタンをひとつ増やすだけだったとしても、構築上ではかなり複雑なコードを書いていることも多々あります。デザインも魔法のように出てくるわけではありません。しかし、そのような事態になるのは制作会社側の問題であるということもあり得ます。まずはきちんとRFPと口頭にて要望を伝えて、それに見合った提案やヒアリングをして自社の要望の明確化と制作会社の技量を見極めることはとても重要です。そして、提出する前に社内全体と決裁者(会長にも)に認識の相違がないか、どうか確認を取ってください……!
制作会社の選定は提案デザインによりすぎない
制作会社を選定する際に注意しておきたいのは、デザインを必要以上に重視しすぎないこと。
たしかにデザインもホームページ制作において大切な要素の一つですが、多くの場合、デザインは後から変更が効きます。そのためデザインよりも、RFPに記載した集客や採用といった根本の課題を本当に解決できているかどうかを見極めることのほうが大事なのです。
デザインが一番よい制作会社に制作をお願いしたら、課題解決のカギとなるコンテンツの更新がとてもしにくい仕様で上がってきた……なんてことにならないように注意しましょう。
ホームページ制作を効率よく行なうためのツールがRFP
ホームページは、企業が抱えている課題を解決するための手段になりえます。そして、制作会社にRFPを提出することで、ホームページ発注の成功率を格段に上げることができるのです。
発注者側からすれば、なんとか安価でクオリティが高くコミュニケーションのとりやすい課題解決に結びつくホームページをつくってくれる会社を探したいでしょう。しかし正直なところ、そのすべてを叶えることは難しいです。探すために時間を消費するか、金額で解決するか、ホームページ制作時には選ぶ必要があるかもしれません。そんなときは先にRFPをつくることでまずは自社の課題を見つめ直し、具体的に制作会社になにを求めているのかを可視化することをおすすめします。
制作会社の中にも、デザイン特化な会社やシステム開発が得意な会社、ほかにもSEO対策のノウハウが豊富だったり、安価な制作が売りだったりと各社特色があります。自社のRFPに沿って当てはまる会社を探すことが価値あるホームページ制作への近道です。
また、ホームページ制作の予算があまり取れない場合にも「何にいくら足らないのか」「どうすれば(いくらあれば)理想としているものを作り出せるのか」という悩みに寄り添ってくれる制作会社が安心です。たとえば、テンプレートが公開されている無料ツールで自分たちで作ってみる、安価の会社を探してみる、でもそもそも自社の課題解決のための予算としてふさわしいかどうかなども、一緒に検討してみるとよいでしょう。
ホームページ制作で悩んだら、ぜひシスコムにもお声かけくださいね。
この記事を参考に適切なRFPを作成して、自社の課題を解決できるホームページを制作してもらいましょう。
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